ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

なんだか虚しくなってきた。



こんな私たちが、純愛ごっこ?


あまりにもママゴトっぽくて、呆れてしまう。




でも、先生はすたすたと歩き出し、「早くおいで、智恵子」と私を呼ぶ。



私は仕方なく先生の背中を追った。




私たちは電車に乗り、駅の近くのカフェでランチを食べ、それから街へ行って映画館に入った。




「なんか面白そうなのやってる?」



「うーん、そうですね………」




ずらりと並んだ上映作品を見つめていると、見慣れたタイトルが目に入った。




「あ、これ………」




思わず声を上げた私の視線を追って、先生もそれに気づいたらしい。




「ああ、嶋田先生の」



「ですね」




私も先生も言葉を切り、じっとそのタイトルを見つめる。



嶋田先生の二年前の作品が映画になったものだ。



ここ最近、『嶋田泰司の大ベストセラー、待望の映画化!』などとテレビや雑誌で宣伝されまくっていた。