2階にある1年生の美都ちゃんがいる教室から、3階にある2年生の教室に戻る。


教室に入るなり、


「玲ー!お前今日も美都ちゃんの所行ってたのかよ」


肩を組んで話しかけてくる悪友のマサト


「あったりまえじゃん!
美都ちゃんを見ないと1日が始まらないだろ!」


「いやいや……だろって言われてもな?」


「今日も美都ちゃんは可愛かったなぁ」



「はぁ……それにしても、よく毎日行くよな」


「当たり前だろ。好きなんだから」


結構真剣に言ったのにこいつは


「はぁ……」


ため息吐きやがった。


「お前さぁ、美都ちゃんの何処が好きな訳?」


そんなの


「まず、デカくて綺麗な猫目でしょ。
長い睫毛に、あのプルプルした唇。
それからスラリと長い手足に、白い肌。俺を冷たく突き放す所に、睨む所。」


「暴言に丁寧語付けただけなのに、それを敬語だと思っている所。
俺に警戒心剥き出しにして威嚇する所。
猫みたいに昼寝が好きな所に、あのダルそうな雰囲気。」


「それから……」


あぁ、言い出したらキリがない。


「ちょっと待て!」


「なんだよ…」


まだまだ美都ちゃんの好きな所あるのに
遮ってんじゃねぇよ。


「お前があの子に本気なのは分かったから!」


「当たり前だろ!まだまだあるよ!」


「いや、クラスの奴らがお前にドン引きする前に止めろ。」


マサトにそう言われ、クラスを見渡すと
見事に全員、苦笑していた。


しょうがないから止めてやるし。