「黙りやがれです先輩。」


いつも俺を先輩と呼ぶ美都ちゃん。


「ねぇ、美都ちゃん。」


「………」


黙ったまま、視線だけ俺に向ける。


「俺の名前知ってる?」


少し考える素振りを見せた後


「……もとはし れん?」



………。


さすが美都ちゃん。


なんか俺の名前、変わってるよ?


「もとはしじゃなくて、橋本。

あと、れんじゃなくて玲ね。


橋本 玲。覚えた?」



「覚えてやりました。橋本先輩。」


「玲でいいよ」



橋本先輩なんて他人行儀だなぁ。


美都ちゃんだけ特別っ!


呼び捨てでいいよって言ってるのにぃ


「玲先輩。」


「玲。」


「チッ……」


あっ、美都ちゃん今舌打ちしたー!


俺泣いちゃうよ?



「もうすぐホームルーム始まるから帰りやがれです。」



「っ…………!」



み、美都ちゃんが……


自分から話かけてくれたぁぁーー!


いつも自分からなんて絶対喋んないのに!



「玲って呼んでくれたら帰るねっ!」


貴重だからこのチャンス、逃さまい。



「チッ……」


「美都ちゃぁーん?」


「………玲。」


あっ…ヤバイ。


嬉しすぎて顔がニヤける。


誰かに名前を呼ばれて嬉しいなんて思うの、美都ちゃんが初めてだよ。


「呼んだんだからさっさと帰りやがれです。」


顔を俺から逸らす美都ちゃん。


耳まで真っ赤だよ?



かっわぃーー



ツンデレ最高っ