「あいつが懐いてる奴らには共通点があるんだよ。もちろん俺も含めて。」
「共通点?」
なんだそれ。
共通点なんてねぇだろ。
「それはな」
ゴクッ
思わず溜まっていた唾を飲む。
「餌付けだよ。」
「はっ?」
思いもよらない答えに、アホ面をする俺。
餌付け?
「このクラスの奴ら全員、あいつに何かしら食べ物渡した事あんだよ。」
「………」
なんかもう、いろんな意味で言葉が出ない。
「あいつ、なんかしら食べ物やると懐いてくれるんだよ。それが共通点。」
お前、そんなのも気づかなかったのかよ
と呆れているマサト。
それどころじゃないぞ?
「俺、此間チュパチャあげたよな?」
「いや、あれは奪われたんだろ」
……どのみちあげたんだよ?
「じゃあ俺も、何かお菓子あげれば美都ちゃん懐いてくれるの?」
「あぁ。あいつ単純だから。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
俺の今までの苦労は何だったんだよ……
マジで。
美都ちゃんに好かれる為に、結構頑張ってたんだけど。
「餌付けって……」
美都ちゃんらしいけどさ……。
「それなら早く教えろよっ!」
マサトに八つ当たり。
「だって玲が本気になってんの面白かったし。」
クククと笑うマサト。
俺の事見て楽しんでただけかよ。


