二人の話し声が聞こえなくなると、部屋のドアが開く。
今度は英輔が入ってきた。
私は英輔の顔は見たくなかった。
窓の方へと行くと外の夜景を見て英輔を無視していた。
「どうしてお前は問題ばかり起こすんだ?」
問題? 何もしていないわよ。友達と遊びに出ただけじゃない。
それが問題になるの? 英輔だって藤沢愛華と遊んでいるじゃない。それは問題じゃないのね。
「今日は学校の友達とお茶するんじゃなかったのか?
それが、合コンだと? それも、他の普通の学校の生徒だそうだな。」
調べたのね。ずっと尾行されていたんだ。最初から遊びにだすつもりはなかったんだ。
「男作るなとは言わない。しかし、あんな往来でみっともない真似はするな。
お前は藤堂家の嫁になる人間だぞ。もう少し自覚を持て!」
へぇー 男作って良いんだ。往来でみっともない真似しなければ良いんだ。
だったら、山崎とまた昔話したい。
楽しい時間を過ごしたいよ。
山崎、会いたい。
やっぱり、思い出したよ。
心の奥深くに閉じ込めていた思いが、また 溢れ出てきたよ。
山崎、もう一度会いたい。 そして 後悔したくないからもう一度告白したい。
山崎が好きだって。
「・・・・亜紀」
「山崎、会いたい。」
山崎を思い出したら涙が流れてきた。
苦しい胸の痛みがさらに涙を流す。
英輔は何も言わずに部屋を出て行った。
私の涙を見て叱る気になれなかったんだろう。
そして、ドアの外で待機していた柴崎さんに山崎について調べるように指示を出していた。



