「どお? 俺の女になってみる?」
確認をしてみた。すると、亜紀は頭を縦に振った。
「よし、契約成立だ。まずは今日は休め。顔色が悪い。
それから、藤堂の家に戻されるだろうから、時々屋敷に迎えの車を出すからそれに乗って俺の屋敷へ来い。
お前にも休息は必要だろ? 俺の屋敷で休めば良い。お前のしたいようにしていいぞ。
必要ならメイド服も準備しておくから、掃除でも何でも気が済むまでやれ。」
「メイド服が良いです。あれ着ると落ち着くんですよ。」
「変わったヤツだな。お嬢様なのに。」
そう言うと、亜紀は俯いてしまう。何か悪いことを言ってしまったのか?
どうも、この亜紀という女はいまいちよく分からない。
「お嬢様ではないんです。私、普通の家庭の娘ですから。
メイドがお似合いなんですよ。」
普通の家庭の娘? どういうことだ? あの藤堂家の婚約者になっている娘がだぞ?
少々のお金持ちのご令嬢でもあの家の嫁になりたくてもなれないのに。意味わからねえ。
「ごめんなさい。本当に、私の家は家柄もお金も何もない普通の家庭なんです。」
普通の家庭と聞くと思わずしり込みをしてしまう俺がいた。しかし、あの藤堂家の婚約者なんだぞ? 親が決めた政略結婚だろ?なのに金も地位も権力もない家の娘?!
「英輔はその結婚納得していなさそうだな。」
「それはもちろん。でも、家長命令なので従うしかないんです。」
「君には何かあるのか? 普通の家庭の子を妻に娶らねばならない理由が?」
「はあ、まあ 一応。 でも、私の口からは話せませんが。」
「それはそうだろう・・・・」
何か裏がありそうだが、とにかくここは亜紀の気を引いておくのは悪くなさそうだ。
それに、英輔の嫁か。 これから楽しくなりそうだ。