「なに? 顔真っ赤だよ。
もしかして、キス初めてとか?」


思わず頭を大きく上下に振った。 だってキスされて言葉にならなかったから。


「可愛いね、君! 面白いなぁ。」


そう言うと、彼は体を起こすとベッドから降りていく。


上半身裸だけども下はスパッツのようなものを穿いていた。



「君、名前なんて言うの?」


振りかえって見るその彼は、長身で容姿端麗でサラサラヘアのイケメン君だ。


絶対に女子にモテル顔立ちだ。思わずドキッとときめいてしまった。


「名前教えて? 聞いたからって家に送り帰すことしないから。それは安心して良いよ。
人の家の事情には口を挟まないからさ。」


何とも軽いというか人との関わりを好ましく思わない人なんだろうなと思った。


でも、昨夜は助けてくれたんだ。優しい人ではあるよね?


「私は 田所亜紀って言います。」


「ふーん、じゃあ 亜紀ちゃんね。君、高校生じゃないの?
学校へは行かなくてもいいの?」


「あ、良いです。暫くは休むことに決めているので。」


間違いではないよね。うん。だって、勝手に藤堂の家を出てきたのだから、学校へは行けない。

万が一学校へ行こうものならすぐにバレてしまう。


それより、このお屋敷ってどこだろう?