結婚してください


「実は、彼女は最近両親を亡くしている。身寄りはなく孤独な身の上らしいんだ。」



「なんてことなんだ。じゃあ、彼女は誰に頼ることもできないのか?」



「そうらしいな。だから、お前の前から去って行ったんだろうな。」



両親を亡くし一人ぼっちだなんて・・・・・俺には考えられない。


だったら何故、もっと人を頼ろうとしないんだ?


もっと助けてもらえる人に甘えればいいのに。


彼女はそれをしないのか?


俺の前からも姿を消して、あれから連絡の一つも寄越さない。


俺を頼る気がなかった。


そんな彼女の力になりたい。



本当に、俺は、あの夜、里子ちゃんに一目惚れし忘れられなくなった。



あの夜の続きがしたいだけじゃない。



心も欲しいんだ。


「俺、あの子を嫁にする。いいよな、兄貴。」



「彼女の身の上を理解した上でお前がそうと望むなら協力しよう。」



「ありがとう! 兄貴。」


だけど、


兄貴が言うには、まず、自分の力で彼女を落とせと言われた。


落とすことが出来れば藤堂家の人間として喜んで迎えると。


俺は、絶対に里子ちゃんを手に入れるんだ!