「え? 昨日のパーティの客で『里子』という名の令嬢が来ていたかって?
さあ、そんな名前は聞いたことないなぁ。一人いるけど・・・あの人は違うしなぁ。」
「誰だ! その人は?」
「たぶん、お前が探している里子って人じゃないだろ。その人は独身ではあるが、もう60歳近いからな。」
勿論、そいつじゃない!
けど、確かにパーティに参加していたんだ。
上物ドレスではなかったが、ドレス姿で清楚で清純で俺に似合いの女の子だ。
あの子がどうしても欲しいんだ。
「けどな、里子って名前の令嬢には心当たりがないんだよ。
昨日来ていた独身の女は殆どって言っていいほど俺に挨拶に来たしなぁ。」
そうなんだ。兄貴には挨拶に行っても俺にはちっとも来ない。
まあ、沙紀がいたからしょうがないだろうが。
って、その沙紀は俺の子じゃない! 兄貴の子だろ!
だけど、ほとんどみんな俺の子だと思っているかもしれないんだ。
やっぱり、このままじゃ俺には嫁の来てがない。
何がなんでもあの子を探し出す!
「そう言えば、会社の社員も何名か招待されていたから、もしかして、社員なのかもしれない。」
「社員が? だけど、品があって物静かでいい子だったよ。」
「そう言う名前の社員だったら招待名簿から探せるだろう。」
兄貴はそう言ってリストを持ってきてくれた。



