無意識のうちに体が動いて里子ちゃんを抱きしめキスをしていた。
驚いていたようだけど里子ちゃんも抵抗はしていなかった。
俺のキスに応えてくれた。
ああ、なんて幸せなんだ。
たかだかキス一つでこれほどまでに天にも昇るような幸せな気分を味わえるとは思わなかった。
恋っていきなりやって来るものなんだ。
恋は盲目って言うのを理解した。
俺は、もう、里子ちゃんのことしか考えられなくなった。
「今夜は一緒に過ごしてくれるね?」
いきなりの俺の言葉に里子ちゃんは恥ずかしそうに頷いた。
ああ、俺は最高に幸せだ!
沙紀は係りの者に言いつけ兄貴に任せた。
プリンセスで藤堂家では最高に大事な女の子だったけど、俺には、今はこの里子ちゃんがプリンセスだ。
沙紀とは比べ物にならないほどに愛おしいお姫様だ。
今の俺にはそうなのだ。
そうして、別室へと向かった俺たちは朝までしっかり抱きしめあってキスしあい愛を確かめ合った。
会ったその日に恋に溺れてしまったなんてとても兄貴には話せそうになかった。



