「君、名前はなんて言うんだい?」
「・・・・ごめんなさい。私は、名乗るような娘ではありませんから。」
「そんなことはないよ。いいから言ってごらん。」
隠そうとすればする程気になるだろう。
それも、男の気を引く君の手管か?
だとしたら俺は君を幻滅するだろうし二度と近づくことはない。
だけど、どうしても会場外で一人寂しそうにしていたこの子の顔が頭から離れない。
「じゃあ、フルネームではなくて名前だけ教えてくれないか?
僕は広樹っていうんだ。君は?」
これなら安心できるだろう?
俺が藤堂家の人間だと隠せるし、この子も名前くらいなら教えるだろう。
「里子です。里子と言います。」
「君に似合っている名前だね。可愛いよ。」
思わず出た言葉に俺は赤面してしまった。
すると、この子も慣れていないのか真っ赤になっていた。
二人赤面したまま見つめ合ってしまった。
すると、この子は耳まで赤く染まっている。
俺はというと・・・・・心臓がドキドキしてきた。
もしかして・・・・
これって、 一目惚れっていうヤツなのか?!
この里子ちゃんに恋してしまった?!
ああー ヤバい。
そう思ったら益々体全体が赤く染まっていく。
そうしたら体が勝手に動いてしまう。
この頬を赤く染めた可愛い俺の里子ちゃんにキスをしたいと。



