結婚してください


控室にあるベッドに沙紀を寝かせると、付いてきた女の子をソファーへ座らせた。


準備してあるティーセットのワゴンをソファーの方へと運びお茶を入れようとした。


流石に、男にお茶を入れさせるわけにはいかなかったのだろう。


その子がお茶を入れてくれた。


「ありがとう」


そう言ってまず俺は一口お茶を飲んだ。


やっと沙紀から解放されてホッと一息つけて安堵していた。


「可愛いお子様ですね。」


「ああ、とても可愛い子だろ? この子は僕の姪なんだよ。
我が家のアイドル的な存在で僕に懐いてしまってね。離れが出来なくて困ってるんだ。」


「まあ」と言うとその子は驚いたような顔をしていた。


ああ、この子も俺が子持ちだと思っていたんだろう・・・


これだから俺には女が寄ってこないんだよ!


「君はいったいどこのご令嬢なんだい?」


そう言うと、そこ子はいきなり黙り込んだ。


何か不味いことを聞いたのだろうか?


いや、そんなことはないだろう?


藤堂家のパーティへは招待状がなければ入れない。


パーティ会場にいたということはそれなりの家柄の女の子のはずだ。


それに、とても物静かでお淑やかで可愛い子だ。


きっと引く手あまたで困っていることだろう。


こんな女の子なら俺の嫁候補に良いかもしれないな。