結婚してください


「あら、今日は広樹さんもいらっしゃってるのね。
沙紀ちゃんってば広樹さんが大好きなのね。パーティで一緒のところを良く見かけるわ。」


「ええ、広樹から離れができなくて父親として妬けますよ。」


「あら、奥様さえいればいいのでは?」


「それでも沙紀は妻の娘ですからね。妬けますよ。」



なんで俺の話題が出ているのに俺を見ないんだ?


俺に話しかけてこないんだ?


俺が独身で、今、花嫁探しをしているのに、なんで兄貴ばかりと話すんだ?


俺は無視かよ・・・



「叔父ちゃん、ジュースが飲みたい!」


「ああ、こっちおいで。
人が多いから勝手に歩いて回ったらダメだよ、沙紀。いいね?」


「うん、分かってるよ。沙紀は叔父ちゃんの恋人役なんだからね!」


あー ほんとうに これが美人の恋人ならどんなに嬉しいか・・・


兄貴の娘じゃフリにもならない。


完全に俺は親子連れだ。


「ほら、沙紀、こぼさない様に飲むんだよ。」



「ありがとう! 叔父ちゃん!」



沙紀の笑顔は天使そのものだな。


こんなに可愛い子をこんな会場へ連れてくるなんて。


兄貴も兄貴なら親父も親父だ。


沙紀は屋敷へ置いてくるべきなんだ。



「おや、沙紀ちゃんじゃないか。今日もお姫様みたいに可愛いね。
おじさんと踊ってもらおうかな?」


なんだ、こいつ。  確か、こいつには中学生の息子がいたよな?


その息子の嫁に沙紀を狙っているのか? とんでもない!


可愛い沙紀を此奴の息子の餌食にさせるか。