俺の気持ちは誰にも分かってもらえない。
パーティ当日、やっぱり沙紀はそこにいた。
だから俺は兄貴に言ってやった。
「子どもが出るパーティじゃないだろ。周りの迷惑になるのだから早く寝かしつけろよ。」
「何言ってるんだ。ここへ来る男達はみんな沙紀にメロメロなんだぞ。
親父なんか、今から沙紀のお婿さん探しするんだって目を光らせてるほどだぞ。」
馬鹿か此奴は。
沙紀はだま10歳だぞ。
それに、親父!!
沙紀が結婚するとしてもそれはまだ10年以上先の話だ。
俺は、
俺は、
今が結婚適齢期なんだよ。
なのに、親父も兄貴も誰も俺に女を紹介するヤツはいないのか?!
沙紀なんか 嫌いだ!!
俺の嫁さがしをぶち壊す存在なんだ。
「広樹、今日も沙紀は任せたぞ。
アイツはお前が大好きだからな。しっかりエスコートしてやれよ。」
おい、兄貴?
俺に子守させるのか?
「あら、英輔さん。今夜はお一人なの? 奥様はお見えじゃないのね。」
「やあ、久しぶりだね。
妻はこのところ悪阻で体調が良くなくてね。その代り娘が代わりに来ているよ。」
おい? 兄貴?
兄貴が今話しているその女の人って、独身で結婚相手を探しているどこぞの令嬢だぞ?
なんで、兄貴がそんな女の相手をするんだ?
俺に、声かけないのか?



