私は時間を持て余すと屋敷内を探検する。部屋が多すぎて迷子になるし、どんな部屋があるのかも知りたいという興味本位から来るもの。
この夜も、いつものように屋敷の中を見て回っていた。
「地下には何があるんだろう? シアタールームとかそんなのかな?」
地下と言えば地下牢。そんなのは小説の中の話しだよね。まさかこんな今時の屋敷にそれはないだろうなぁ。
そう思って多少は怖さもあるが、怖いもの見たさという好奇心もある。
思い切って地下へと階段を下りていった。地下へ続く階段とはいえ、おしゃれな階段で古臭い映画に出てくるようなあんな地下ではない。
屋敷の続きで豪華で明るい装飾で絨毯が敷かれた階段を下りていくとそこには広い部屋に繋がる廊下があった。
シアタールームだ。それに、バーもある。
静かな部屋だけど、薄っすらと明かりが灯っている。
そして大画面に映し出される映像と音楽が響いてくる。
あたりを見渡すとそこには英輔とあの藤沢愛華がいた。
二人は一緒に映画を見ているようで大画面の前にあるソファーに座っていた。
しかし、その様子はまるで恋人同士。寄り添いあって肩を抱きしめながら映画を見ていた。
二人だけの時間を過ごすんだね。
お邪魔だね。ここまで堂々と一緒に過ごしていて同じ屋敷に婚約者を囲うなんて理解できない。
やっぱり、私には無理だわ。



