結婚してください


それから奇妙な関係が続いた。


ストーカーまがいなあの英輔似の男から逃げるように屋敷に留まっていた。


その屋敷では英輔の妻の元愛人・伊澤善道との情事が続いた。


昼間なのにちょくちょく現れる伊澤。


こんな女を抱いて楽しいのかしら?


なのに、いつの間にか伊澤善道が屋敷に来るのを待っている私がいた。


毎日のように通い続けた伊澤善道。


だけど、流石に飽きてきたのね。


ぷっつりと来なくなった。


連絡は入るけども「忙しい」の一点張りだ。


どうせ、最初から遊びで寝た間柄。


こんな日が来たからと慌てたりはしない。


捨てられる時が来るのは分かっていたのだから。


それが今だってことよ。



「お嬢様、今日は伊澤様はいらっしゃいますでしょうか?」


「来ないわ。だから、迎えの準備は必要ないわ。」



そう。 来ない。


もう、あれから2週間も会っていない。


心の中にポツンと穴が開いたようなこの気持ちは何なのかしら?


私には分からない。


でも、英輔の時には感じなかったもの。


それだけはハッキリしている。