結婚してください


翌日、別荘から家へ戻りあの人に電話を掛けた。


どうせ行きずりから始まった交際。


もともと、私に気はなかった。だけど、藤沢家の娘だと分かった途端交際したのよ。


あんないかにも財産目当ての男は願い下げだわ。


「愛華! 俺はお前を愛しているんだ。
だから、別れるなんていわないでくれ!
頼むから!」


「あら、私を愛してくれているなんて知らなかったわ。
てっきり私の父の財産を愛しているのだと思ってた。」


そう言って電話を切った。


その後も何度もあの男から電話がかかる。


けれど、その都度無視した。


家に電話をしても私には届かない。


それに、自宅へ押しかけようとしても門前払いを喰らうだけ。


もう あの男とは終わりよ。


英輔じゃないのだから。





けれど、一方的な別れはあの男を怒らせてしまった。


きっと金蔓がなくなったことへの怒りなのだろう。


私が出かけるのを待ち伏せたかのように、私の行く先々にあの男が現れる。


私にはSPが常にいる。


だから近づこうにも近づけないのよ。


それでも接触を図ろうとあの男は常に私を見張っていたようだ。