とにかく ホテルを出よう。
一人でこんなところにいるのを誰かに見られたくない。
「君、藤沢愛華だろ?」
誰?
この人、誰なの?
「あ、失礼。俺は伊澤善道って言うんだ。
名前くらいは聞いたことあるだろう?」
そう言えば、パーティで何度か名前は聞いたことある。
2度くらいは顔を見たことがあるかも。
ああ、そうだ、
パーティではいつもたくさんの女の人に囲まれていた、あの人だわ。
「ええ、パーティではお目にかかったことあるようですわね。」
「せっかくだからお茶でもどうだい?
懐かしい話とかあるだろうし」
「あなたと懐かしい話ですって?
そんなのあるのかしら?」
失礼だわ。
ほとんど面識ないのに。しかも、これまで話したことすらないのよ。
「英輔の話でもしようか?
それとも、奥方の亜紀の話なども楽しいかもしれないよ。」
なんて人!!
こんな恥知らずな人初めてだわ!!
思わず平手打ちをしようと手を上げてしまった。
「そんな挨拶よりも、俺はこっちの挨拶の方が好きだな。」
え?!
こんな人目のあるところで あなたはなにをするの?!
平手打ちしようとした手を掴まれるとそのまま引き寄せられてキスされた。
なんて最低な人なのだろう!



