結局はその夜は寝つけずに深夜までパソコンと睨めっこをしてしまった。
そのせいか、朝はいつもよりゆっくりと起床した。
けれど、会社へ遅れるわけにはいかない。
直ぐに支度して会社へ行かなければ。
そう思って眠気の取れない顔のまま洗面所へと行き顔を冷たい水で洗う。
さっぱりして気持ちいい。
今日も一日頑張るぞ!と 活を入れる。
身支度を済ませダイニングルームへ行くと珍しく厨房が静かだった。
「今朝は静かだな」
「ええ、奥様が寝坊されたのでシェフとの格闘騒ぎがありませんでしたね。」
楽しそうに柴崎は言うが、毎朝の厨房騒ぎはやめて欲しい。
第一胎教によくないだろう。
できれば、朝はクラシックでも聴きながら落ち着いた朝を迎えたいし亜紀にもそうして欲しい。
「それで、亜紀はまだ寝ているのか?」
「いいえ、奥様は先ほど目を覚まされましたよ。
弁当は後で会社の方へ届けられるそうです。」
「そうか」
まあ、寝坊しても会社へ弁当を届けてくれるならば昼飯の心配はしなくてもいいのか。
しかし、妊婦姿で会社へ?
何となく嫌な予感がするが・・・・



