翌朝目を覚ますとそこには見知らぬ女の人がいた。
「おはようございます。ご気分は如何ですか?」
「はい、あ、ありがとうございます。」
「まあ、お礼などは申されないで下さい。私どもは使用人ですから。」
まだ若いけどここの使用人さんなんだ。私とそんなに年齢差はないみたいだけど。
「申し遅れました、私、亜紀様の専属使用人をさせていただきます坂田と申します。宜しくお願いします。」
「坂田さん、よろしくね。
坂田さんって年齢幾つなんですか?まだお若いんですよね?」
「はい、今20歳です。この屋敷では若い方になりますね。
あ、でも、お仕事はしっかりやりますのでご安心下さいね。」
「こちらこそよろしくね! この屋敷は知らない人ばかりだから不安だったの。
坂田さんみたいなお姉さんがいてくれると心強いわ。友達になってくださいね。」
「とんでもありません!!! 私のような使用人にそんなこと勿体無いです!」
私はこの家の婚約者で坂田さんは使用人。だから、友達にはなれない。どんなに年齢が近くて親しみやすいと思ってもそれとこれとは別。
寂しいね。屋敷内で友達も作れないなんて。
結局、私は一人なんだ。



