朝日が病室へ入ってくると英輔が目を覚ました。


顔色は悪くなく元気はないがしっかりとした動きで瞼が開く。


「亜紀? 幻か?」


「ううん、私よ。英輔」


英輔の手を取り私の頬にあてる。


その手の甲に優しくキスをする。


「もう大丈夫よ。英輔、大丈夫だから。」


「俺は・・・いったい?」


英輔は自分が倒れたことや手術のことをあまり覚えていなかった。


そこで私は英輔が倒れてから今日に至るまでの説明をした。


英輔は自分がそんな軟な男だったのかと驚いていた。



「人間だもの病気することもあるわよ。」


「あ、その、英紀と沙紀は?」


「あの子達なら大丈夫よ。昨夜は一緒にいたし、ちゃんと沙紀には授乳させてから来たの。
子ども達も心配だけど、今は英輔の方が心配だわ。
早く元気にならないとね。パパがいないとあの子達も寂しがるわ。」


私のパパ発言をどうとらえていいのか悩んでいるようだった。


英輔はまだ私の記憶が戻っていないと思っている。


少しこのまま困らせちゃおうかとも思った。


でも、それでまた吐血されても困るわ。