夜は思うように眠れていない。その上に、朝、家を出るときに食事を済ませると帰宅する時間まで俺は一切飲食をしない。
そんな無茶な生活を何日も送っている。
けれど、この程度で負けるわけにはいかない。
俺は亜紀のためなら何でもすると決めたのだから。
「今日も来たの?無駄なのに」
「ああ、いいよ。亜紀の顔が見れただけで嬉しいよ。」
「嘘ばっかり」
ああ、そうか。まだ亜紀の中では俺の恋人は藤沢愛華なんだ。
だったらそう思えばいい。
それでも俺は亜紀だけなんだ。
その日も亜紀は何度か部屋から出入りしたが俺を完全無視していた。
俺は子ども達もだが亜紀の体調も心配している。
亜紀が部屋を出入りするときに様子を見ている。
あまり部屋から出ないのは調子が良くないのだろうか?
それともただ単に俺に対する嫌がらせなのだろうか?
今のところ顔色は良さそうだ。安心してもいいのだろうか。
そんな日が数日続くと亜紀はかなり呆れ顔になっている。
そんな亜紀の表情が変わるのを見れるのは俺にとっては嬉しいことだ。
少しは期待が持てるのではないかと思える。



