それから、英輔はよく顔を出すようになった。
とは言え、以前のように泊まることはないし一緒に食事するわけでもない。
病院への診察や父親講座など出産に関わることには何でも付き添ってくれた。
買い物へも荷物持ちとして一緒に付いてきてくれた。
英紀の買い物や今度生まれてくる子供の買い物などかなりの量を買い込んでいく。
そして用が済むと英輔は長居することなくマンションから帰っていく。
子供の父親として責任を果たしたいのだろう。
以前のように、私を見てはくれない。
離婚するのだから当然だけど、英輔に見つめられないことがこんなに寂しとは思わなかった。
抱きしめられないことがこんなに胸を苦しめるとは思わなかった。
英輔にもっと会いたいのに・・・
意地を張って離婚するなんて言わなきゃ良かった。
英輔に騙されてたって良かった。あのまま知らんぷりして英輔とずっと一緒に居れば良かった。



