「今日は気分転換に買い物に来ているの。
たまには電車に乗って一人のんびり過ごしたいから。」
間違ったことは言っていない。
そう、山崎に誤解されてはいけない。
「そうか、今子育て中だったよな。」
「そうなの。だから、たまには息抜きも大事だって言ってくれて。」
言ったのは執事の吉沢さん。
英輔とはクリスマス以来会っていない。
「幸せか?」
山崎の思いがけない言葉に驚いてしまった。
憎まれていると思っていたのに、そんな山崎から「幸せ」という言葉が出るとは思わなかった。
「え・・・ええ。」
けれど、私にはそれが精一杯の返事。
英輔と過ごす時間はとても幸せ。だけど、それはあくまでも英紀の母親として過ごせるのであって英輔との夫婦関係は終わっている。
「・・・茶飲むか?」
「え?」
さっきまでの無表情の山崎と違っていた。
少し困った顔をしてはいたけども昔のあの優しい表情の山崎が一瞬見えた。
困惑した感じではあるけども、少し笑みを浮かべ差し出された手を掴んでしまった。



