「朝食を食べたら近所の公園に散歩に行くけど、英輔はどうする?」


「勿論、俺も行くよ」


「うん」


最近では亜紀は俺に悪態をつかなくなってきた。


以前は、俺をわざと怒らすようなセリフを言っていたが、最近ではそんなことも減ってきた。


お腹が大きくなるにつれ多分出産への不安などが大きいのだろうと思う。


だから、少しでも俺も力になりたい。


どんなことでもいい。亜紀の為になにか出来ることをしたい。


朝食を済ませると二人でマンションを出る。近くの公園までゆっくりと歩いて散歩をする。


初夏とは言え、この日は少し肌寒い空気だった。


「薄着だけど寒くはないか?」


「ううん、大丈夫。歩けば汗をかくわ。」


「ならいいけど。それにしても随分大きくなったな。」


「もうすぐだからね」


赤ちゃんとの対面が待ち遠しい俺は亜紀のお腹を毎日のように触る。


「早く出て来いよ」と言いながら触るとそれに答えるかのように赤ちゃんが動いている。


動く赤ちゃんの足の勢いにお腹が波を打つように動くと亜紀が痛がる。