それから数日後のこと、
英輔の交友関係にある人たちからのお祝いを受けた時のことだった。
いつものように客間で談笑していた英輔たち。
私は体調が優れなかったため自室に篭っていたが、せっかくのお祝いのお客様だからと客間へと向かった。
すると客間からは賑やかな話声が廊下まで聞こえていた。
何人ものお客様が来ているのだと、部屋へ入る前に深呼吸をしドアにてを差し伸べようとした時のことだった。
「英輔、お前も上手にやったよな。あの奥方をどうやって妊娠させるのに成功したんだ?」
「これで、藤堂英輔の別居中の不倫妻を大人しくさせることができるな。」
「それで、そのお腹の子の父親はいったい誰だい? 」
「普通は夫である俺の子どもじゃないのか?」
「普通はな。だけど、お前たちは普通じゃなかっただろ?」
「ああ、そうだ。普通じゃない。俺たちは・・・」
「じゃあ お前の子どもかどうか分からないってことだな。」
「そういうことになるのか?」
誰もが、お腹の子の父親を疑っているということを思い知った。
そして、信じてくれていると思った英輔でさえ私を信じてはくれていないと感じた瞬間だった。
ハッキリ自分の子どもだと言わなかった英輔。
言わなかったのではなくて、言えなかったのだと思う。
確かにあの夜は私は初めてだった。でも、その後に山崎と関係をもったら英輔には分からないことになる。きっと、私がその後山崎と関係をもち、関係を続けていったと思っているのかもしれない。



