「お祝いに来てくれたのじゃないのか?」
「事実を聞きに来たのよ。亜紀さんのおなかの子はあの愛人の子でしょう?」
「それはありえない。亜紀は俺が抱くまではバージンだったんだ。それに、俺は避妊はしていない。俺の子どもが出来ないはずはないだろう?」
英輔はそう言うと藤沢愛華を睨みつけて柴崎さんを呼んだ。
「お祝いに来てくれたのだが、亜紀の体調が優れないから帰ってもらってくれ。」
そう言うと私の肩を抱き寄せてテラスから室内へと入っていった。
柴崎さんは藤沢愛華を玄関まで案内していく。
「藤沢様、あのお二人の間に入ろうとしても無駄ですよ。」
「執事分際で何を言うの。それに、英輔はあの女のことなんとも思っていないのよ!」
「いいえ。ご結婚当時から毎日奥様のことばかり気にかけていらっしゃいますよ。
とても奥様を大事にされています。私どもが見ていて恥ずかしいくらい仲睦まじいものです。
英輔様にとって一番大事なのは奥様ですから。」
柴崎さんの言葉に何も言い返せなかった彼女はその後嫌がらせに藤堂家を訪問することはなかった。



