その夜、近くの市街地にあるレストランへと向かい二人でディナーをした。
畏まったお店ではなかった為、おしゃれをしていない私たちでも入店が出来たけれど、それでも、もともと上品な装いのある英輔は他の客と比べ群を抜いて目立ってしまう。
滅多にない英輔のエスコートに正直不慣れな私はドキドキさせられっぱなし。
慣れている英輔は平気なのかもしれないけど、私には心臓に良くない。
「どうした?緊張している?」
「私は慣れていなくて」
「俺が一緒なんだから何も気にせずに隣にいるだけで良いんだよ。」
そんなこと言われても・・・・・そんなセリフ言われると困る。
私は妻なのだから困ることではないのだけど、でも、やっぱり英輔が素敵に見えてしまう。
食事を済ませると少し郊外の景色を見ようと高台へと向かった。
外はすっかり暗くなり高台から見える景色は素晴らしい。
車から降りた私たちは二人並んで夜景に目をやる。
街のネオン街のキラキラと光り輝く景色に見入っていた。
「綺麗よね」
「亜紀の綺麗さには負けるよ」
そう言うといつもになく微笑んでくれた。
そんなキザなセリフを英輔も言うんだね。それって3日間の為?
私を屋敷へ連れ戻す為? けど、3日過ぎたら元の生活に戻って良いと言ってくれた。
あれは何を意味するんだろう?
「ねえ、さっきのあの言葉ってどういう意味なの?」
「どうしたんだ?」
「その・・・3日過ぎたらって」
私がその先を言おうと思っていたら英輔の表情が曇りだしたため言葉に出来なくなった。
いきなり黙り込んだかと思えば、私を見て少し笑みを見せながら話し出す。
明らかに作り笑いだと感じた。
「亜紀を苦しめるのならあの屋敷に連れて帰ろうとは思わない。
亜紀の好きにすれば良いよ。」
「それって離婚てこと?」
それには首を左右に振る英輔。そんな英輔の表情はまた暗くなる。



