「良い雰囲気じゃないの?」
「やっぱり新婚さんは違うよね。」
「昨夜と良い、今朝と良い。仲睦まじいのは良いけど、当てられっぱなしと言うのは独身の俺にはちょっと辛いものがあるな。」
それ、誤解です!
仲は良くないし、なにも変に勘ぐらなくても何もないのに!
あ、でも、夫婦だから普通はそう捉えられて自然なんだよね?
「英輔、午後から奥方と素敵な時間過ごせたのかい?」
「ああ、お陰さまで」
「あ~あ、昨日からこんな調子でつまんないわ。
一番人気の英輔さんに奥様がいらっしゃると楽しめなくなるわ。」
「おいおい。他の良い男はみんな独身だから。遠慮なくエスコートさせてもらうよ。」
「そうだよな。俺たちを忘れてもらっては困る。」
まるで私と英輔が仲睦まじい関係のように聞こえる。
そんなんじゃないのに。
思わず山崎の方を見た。けれど、山崎は背を向けたまま私を見てはくれない。
サークルのメンバーも気を利かしてくれたのか、あまり山崎を私のほうへと近づけさせないでいた。
サークルのみんなを誘ったのは間違いだったのかな?
山崎がいまどんな気持ちで居るのか気になり、手伝いに来たはずのテーブルの準備が思うようにいかない。
「きゃっ!!」
英輔とのことを考えていたら、手を滑らせグラスを落としてしまう。
落ちたグラスが地面の石にあたり跳ね返ってきたのが私の足へと刺さってしまう。
「切れたのか? 血が・・・・」
足首から血が流れていることに気づいた英輔は私を抱きかかえ室内へ運ぼうとした。
「歩けるから大丈夫。これくらい平気よ。」
「怪我しているじゃないか! 草薙!至急治療を受けさせる。車を準備しろ。
それから、悪いが後はお前たちに任せても良いか?」
「大事な奥方の怪我が心配だろう。ここは俺たちに任せろ。
それに優秀なシェフもいるから、後は彼にお願いしよう。」
「悪いが、後はお願いする。」
たいした怪我でもないのに、そんなに心配することでもないのに、英輔は真面目な顔をして車へと向かう。



