「坂田さん、タオルを持ってきてくれる?」
タオルを受け取ると、英輔の額の汗を私が拭いてやる。
「大丈夫? こんなこと慣れていないでしょう?」
「亜紀はバーベキューをしたいんだろう?」
ああ、そうか・・・・私がやりたいとはじめたことだったんだ。
それを無理やり付き合わせた。それどころかこんなに炭まみれに汚してしまって。
「ありがとう」
やっぱりここはお礼を言うべきだよね。
すると、英輔は嬉しそうに微笑んでくれた。
なんだか、昨夜から英輔が違って見えてくる。
夫婦だから?
以前はまだ結婚していなかったから?
だから、こんなに違うの?
これまでの作り笑顔とは何かが違うように感じる。
違うのだろうか。 それとも、それだけ英輔の演技が上手になったんだろうか。
どちらにせよ、今の英輔は以前とは比べ物にならないくらい大人の魅力を持ち合わせ素敵な紳士になりつつある。
まだ、時折子どもっぽい表情をする時もある。けれど、大人びた表情もする。
今まで知らなかった英輔の顔が見えてくると私の心臓もドキドキして目が離せなくなってくる。



