夜は私と英輔の提案でサークルのみんなも誘ってのバーベキュー。
英輔の指示は的確で、ご令息やご令嬢に今回のバーベキューを行うに付いての説明をし賛同してもらい、同行させた私設秘書の草薙さんと言う方にサークルのメンバーへ招待することを連絡した。
サークルのメンバーは喜びより驚きのほうが増していたようだけど、私からのお誘いと言うこともあり二つ返事をしたそうだ。
「亜紀様、とってもお綺麗ですわ! きっと英輔様も惚れ直されますわ。」
「そんなことないわよ」
そう。英輔は藤沢愛華が好きなのだから。私がどんなに着飾っても単なるホストの妻ということだけ。
ホストの妻が不在するのが困るだけなのだから。
それでも、バーベキュー用に少し活動的な装いに品のある素敵な衣装を身にまといバーベキュー会場になっているテラスへと向かった。
そこでは既にサークルのメンバーが来ていて一緒に火起こしから道具の準備などを手伝っていた。
私が来たことに気づくと、私の装いにみんな一瞬手が止まる。
「田所、見違えたよ。」
「うん。驚いたよ。」
「だよね」
けれど、山崎は何も言わないし私と目を合わせようとしなかった。
「亜紀、もう少しゆっくりしてくれば良かったのに。疲れていないか?」
相変わらず優しい言葉をかけてくれる英輔。
「大丈夫よ。それよりバーベキューの方が気になって。どお?順調にいってる?」
「たぶん、大丈夫だよ。サークルの人にも手伝ってもらっているから。」
慣れない作業なのに必死になってみんなと一緒に作業している光景がとても不思議だった。
これまでのことを考えると、英輔が自分の体を汚してまで何かするということがなかったと思う。
手袋をしているとは言え、炭で手は黒ずんでいる。そしてバーナーで焼く炭に額からは汗が流れる。



