そして、
一番驚いたのが、みんなの前で本人に向かって言ったこと。
『愛華は単なる友人だ。気にしないでくれ。』
本当にそうなのだろうか?と思ってしまう。けれど、あれだけ断言するのには勇気が必要だと思う。
もしかして、私を屋敷に連れ戻す為の演技?
だとしても、普通はあんなところであんなセリフを言われたら気持ちが乱れてしまう。
やっぱり、私も気にしていたんだと思う。恋愛結婚の許されない家だからと私も英輔も許されない恋をしているのだと思っていたから。
その犠牲に何故一般家庭の私が巻き込まれるのか疑問だった。
でも、それは英輔も同じだと思うようになってこの縁談は破談にすべきだと考えた。
なのに、英輔は家のしきたり通り自分の保身の為にこの結婚を受け入れた。
結婚後まったく外部どころか藤堂家のパーティにさえ顔を出さない私だから、きっと非難囂々のはず。
私が藤堂家の嫡男の妻として振舞えるように英輔がそのチャンスを与えているのだと思う。
結婚したのに妻が不在では英輔も肩身の狭い思いしてたでしょうね。
そう考えると英輔に申し訳ないことをしている気になる。
だからと言うわけではないけど、前ほど英輔に対して悪態をつけなくなった。
それに、まさか英輔と一緒に眠ったあの夜があんなに安心して眠れたことに自分が驚いている。
山崎に支えられてきたのに、たった一晩でこんな考えを持つなんてと山崎に呆れられるかもしれないね。
それでも、バルコニーで英輔に抱きしめられ頬にキスされた時は驚きもあったけどトキメキもあった。
ドキドキした。英輔に初めてこんなことされたし、優しく抱きしめられるとは思わなかったから。



