私は同じベッドで眠ることに悩んでいたけども、英輔の意外な態度にあっけに取られてしまう。
ぜんぜん意識していないし、ベッドから落ちないようにと笑っているだけだし、心配していた私のほうが馬鹿みたい。
『おいで』
と言われた時は、心臓がバクバクしたけど、でも、いざベッドに入ってみると抱きしめこそされたけどそれ以上何もされなかった。
もっと意地悪されたりエッチなことされるのかなって思ってたけど何もされなかった。
期待外れみたいな感覚に陥るくらい何もなかった。
でも、それでも眠る時に抱きしめられたのは驚いた。
驚いたけど、不思議なことに嫌じゃなかった。
とっても温かくていつの間にか心地よく眠っていた。
人肌がこんなに温かいのは初めて知った。
翌日、英輔が招待しているというご令息やご令嬢に挨拶しホストの妻としての務めを果たそうと思った。
けれど、やっぱり気分が良くない。
私はこの社交の場が心身ともに合わないのだと思う。
すると、こんな私に気づいた英輔が部屋へと連れて行ってくれた。
こんなさりげない優しさを持っていたっけ? 思わずそう思えた。
それに、私が困らないように屋敷から私の専属メイドの坂田さんを連れて来てくれていた。
坂田さんに久しぶりに会えたことでつい話が弾んでしまった。
それでも、そんな私にお小言は一切ない。
自分のペースでやっていいんだよ、と、言われているような気がして調子が狂ってしまう。
あんまり優しくされると英輔を嫌う要素がなくなってしまう。



