「まあ、亜紀様 すっかりお元気になられて。幸せそうなお顔されていらっしゃるわ。」 「これっ。なんてことを! あの人はご友人ですよ!!」 使用人たちの会話が聞こえてくる。 そうか、あの顔はこの屋敷では見ることの出来ない幸せな顔ということか。 あの男がいるから見れる顔なんだ。 俺は、少し分かった気がした。亜紀はどんなに俺が努力しても手に入らない女だと。 俺の目的の為に黙って俺についてくる女じゃない。 この屋敷では過ごせない女だと分かった気がした。 けれど、それでも他の男には渡せないんだ。