もう一度だけ、キミに





「…あ、そろそろ行かないと授業欠席扱いされる!」



舞桜が慌てたように
テキスト類を腕に抱える。


私は舞桜の声に反応しつつ、
チラリと時計に目を向けた。


あ、本当だ。
あと5分で授業始まっちゃう。



「奈央、行こ!」


「うん」



テキストを抱えて、舞桜と共に扉に向かう。


廊下に出れば、閉まっている窓の隙間から入る冷たい風によって生足が凍るように冷える。


息も白くて、暖房を廊下に付けて欲しいと本気で思った。



「寒い!」


「だね」



舞桜の零した言葉に心底同意。
本当に寒い…!!


身震いしながら長い廊下を歩く。


ふと、
窓に目を向ければ。



窓の外に広がる
雲のない青く澄んだ綺麗な空が、


少し霞んで見えた。