「あ、メールだ。」
…見慣れないアドレス…迷惑メールかな。



件名は…一条拓海?
私はクリックしてメールを開く。




奈々へ

松岡からアドレス聞いた。今日は舞台見に行くから頑張れよ。

もし、本番前会えるなら少し顔見たい。12時に体育館の裏で待ってる。 

拓海




そっけない文面だった。けど、なんとなく久しぶりの一条君からの連絡で、少しだけ胸が高鳴る。




私はさっと時計を見上げる。時刻は11時50分。急いで行けば間に合いそう!




「雫、私少し出てくるね?」

「え?今?」

雫はいぶかしげな顔をする。




「絶対本番までには戻ってくるから!ごめん!」

「分かったわよ…13時から本番だから30分前には戻るのよー」

「はーい!」



私は、関係者しかしらない裏口を飛び出した。
私はドレスの裾をたくって、衣装に傷がつかないように人ごみを避けて体育館の方へ向かった。




幸い文化祭中ということもあり、目立ちはしたけど、注目の的になることはなかった。
私は5分もたたず、目的の体育館裏に到着した。




「ここであってるよね?」
私はもう一度メールを確認する。12時に体育館裏。うん、間違いない。




その時、口と鼻に強烈な香りの布が押し当てられた。
「うっ!!!」



振り向こうとするも強く抑えられて身動きが取れない。
私は抵抗する間もなく、意識を手放した。