VOICE

「これ…。ちょっとやばいね。」
俺は写真をぐっと握りつぶした。



「僕がこれだけ探しているのに、犯人を捕まえられないなんておかしいんだ。もしかしたら、相手はプロかもしれない…。

拓海も僕から離れないようにしてね。」




凛は散らばったそれらを集めると、ベランダにまとめ、火をつけた。

ボロボロ焼き崩れていくイジメの証拠たち。

「こんな時期に部活なんかやって、バカかよあいつ…」




「犯人の目的が分からない以上、とにかく警戒するしかない。

僕が坂上さんを守る、みんなもできる限り警戒してくれ。」

佑季と滉佑がうなずく。




「俺も…奈々を守る!」

「拓海はいい。君は大人しく僕に守られてろ。」凛は鋭く言い放つ。




「なんだと!!!」
俺は凛の胸倉をつかむ。

次の瞬間、ふわっと体が舞って地面に押さえつけられる。



「うっ!」

「こんなに僕より弱いのに?」見下ろす凛の瞳は恐ろしいほど冷たかった。




「自分の力量もわきまえない主を持つと大変だよ、全く…。

この数年、もともと持ってるポテンシャルに甘んじて、力を磨くのをやめたのは誰だ。

向上することをやめたのは誰だ。

今の拓海に人を守る力なんてないよ、せいぜい自分の身くらいは守ってくれ。…僕はもう行く、あとは自分で考えな。」



凛はパッと俺を抑え込む手を外すと颯爽と出て行った。




「…くそ!!」俺はこぶしをガンと床にたたきつける。いつの間にか佑季と滉佑の姿もなくなっていた。




イライラする、何で俺は負けたんだ…。奈々と凛の顔があたまをよぎる。
「…力って…なんなんだよ…」