VOICE

私は、入部の次の日。早速一条君と相良君に報告した。




「は?」

「そうなんだ。僕はいいと思うよ。部活に入れば知り合いも増えるし、早く学院にも慣れるよね?おめでとう。」



どす黒いオーラをまき散らす一条君と天使のほほ笑みの相良君。




「お前何言ってんの。部活なんて始めたら俺と一緒にいる時間減るじゃん、バカなの?」

「ひぃいいっ…」
キッと睨み付けられ、身を縮ませる。




「拓海は独占欲強すぎ。編入してきたばかりなんだから、学校になれるのが先でしょ?

しかも拓海みたいなド派手な人間とずっといたら、友達できにくいの分かんないかな…

それに、彼女男性苦手みたいだし。四六時中付きまとってたら、嫌われるよ。」




相良君はあきれたように首を振る。
「あぁ?凛てめえ、どの口が言ってやがる。」

「はいはい、坂上さん。拓海が寂しがるから、せめて昼休みくらいは僕らと過ごしてもらっていいかな?」




相良君は両手で一条君を押さえながら上品に提案する。




「もももちろんです!」
私だって、やっと学校に馴染めそうなときにオタバレなんて絶対したくないし!できるだけ一条君の言うことは聞いておきたい。




「奈々…。」ふいに優しく呼ばれて、心臓が跳ねる。

「お前どこにいても俺のもんだからな。忘れんなよ?」
耳元で甘い声で囁かれて真っ赤になる。




「ふっ、その可愛い顔が見れただけ、今日は許してやるよ。」
私はその妖艶な表情の一条君にドキドキが抑えられない。…もう、いちいち声で誘惑するの、本当にずるいよ…




それからは、昼休みは一条君と相良君と過ごし、放課後は、主に部活。

お休みの日は一条君の車で、映画やショッピングに連れ出された。もう私…お金持ちの遊びって分からない…





そして、演劇部で知り合った、クラスメイトの雫と友達になったことは、私にとってすごくプラスだった。




天真爛漫な雫は、異常なまでに人脈が広く、私も雫つながりで一気に学校に馴染めたのだ。

こうして、私は初日にオタバレするという大失態を犯したものの、それなりにうまく学校生活を満喫できるようになっていた。