「終わったーーーー!!!」 




今回の中間テストの最後の科目・英語がようやく終わった。




うん、ココに来てはじめての定期テストだったけど、かなり手ごたえあり。これなら本家の人にも恥ずかしくない成績を取れそう…。

私はふうっと大きなため息をつく。




「奈々!!ぼーっとしてない!ほら部活行くよ!!」
突然、背中をバシっとはたかれる。

「し、雫!?」

「もう本番まで、10日切ってるのよ!?早めに言って発声やっちゃおう!」




雫に引っ張られ、私は慌てて席を立つ。

「あ、絵里ちゃん。いってくるね!また明日。」

隣に座る絵里ちゃんは、ドタバタの私と雫を見て、ニコッと笑う。




「奈々さん、雫さん。頑張ってくださいね。」

「絵里ちゃん、バイバーイ!!」

私たちは手を振りながら、ダッシュで教室を出る。




「奈々、帰るぞ。って松岡?」廊下で待っていた一条君と相良君が振り返る。



「拓海くん、奈々は今日部活なので。お先にお帰りくださーい!」
雫は私の手をにぎり、一条君にあっかんべーをする。



「は?平日は月火木って言ってたじゃねえか。」
眉をつりあげる一条君。



「あ、ごごめんね。本番10日前だから、テスト明けから毎日部活なの…だから…」

「拓海君は、いっつも奈々を独り占めしてるんだから、文化祭くらいまでは解放してよね!奈々はうちのエースなんだから。」




「独り占めとか当然、奈々は俺のものなんだから、って松岡!?」




雫は一条君の話も聞かず、私と手を繋いだままダッシュする。
「一条君!先に帰ってて!!明日の昼休みは付き合うからごめんねーーーー。」



私は唖然とする一条君にそれだけ言うと、雫と共にその場を離れた。







「……」くすっと隣で笑う声がする。
「…なんだよ…凛。」

「ふふっ、坂上さん。男女ともに人気があって、競争率高いよね…、頑張りなよ、拓海。」

そういってポンと肩に手を置かれる。




「うっせぇ、いいから車回せよ。今日は直接帰る。俺は疲れた。」
俺は凛の手を払いのけて、歩き出す。



奈々は俺のおもちゃなのに…何で思い通りになんねーんだよ…くそ




「はいはい。仰せのままに。」
凛は笑い声をかくしきれないまま、俺の後に続いた。