「おい、凛。奈々といちゃいちゃしてんじゃねーよ。ったく。これだから、天然王子様は…」




「ああ、拓海。早かったね。」
相良君はもう一つのペットボトルを一条君に差し出す。




「ふん、一発OKだっつの。素人のあんな演技見せられてTAKE重ねられるかよ。」




「お疲れ様。一条君。」私は黒髪の彼におずおずと笑いかけてみる。





すると、見る間に顔が赤くなっていくのが分かる。
「お!おう!」

「あ、珍しい。拓海が女の子に赤くなるなんて。さんざん遊んできたくせに、初心だなー。」
相良君は一条君をからかう。




「凛、お前!うっせぇよ!!」
一条君と相良君のやり取りは、一気に同じ高校生なんだなーと認識させられるくらいかわいいものだった。




「ふふ…。なんだかんだ楽しかったよ。ありがとう、連れてきてくれて。」

私は、笑顔で二人にお礼を言う。
なんか二人とも心なしか、ほっぺたがピンク色な気がするけど気にしないっ。



「んじゃ、俺らも帰るか。そういえば、佑季は?」

「あぁ、さっき役員に呼び出しくらって出て行ったよ、多分事務所の会議だと思う。先に帰ってていいよ、って。」

「そっか。じゃあ、帰るか。」

私、一条君、相良君は、スタッフさんにきっちり挨拶を済ませ、スタジオを後にした。