海辺の映像が映り、恭弥の引きの映像にかわる。
「桃…俺が桃を…傷つけたのか…」
あまりの存在感に思わず隣を見る。そこにいたのは、もう一条君ではなく「恭弥」だった。
画面が変わり桃の映像になる。
「待って!恭弥君!!」正しい呼吸で正しい発声を。基本に忠実に。心を込めて、丁寧に…
「桃…?」
「ハァハァ…恭弥君……ハァ…私…まだ…恭弥君に伝えてないことが…あるの…」
私は、ひたすら画面を見つめながら声を吹き込む。このシーンは何度もマンガで読んでる。セリフなんてぜんぶ入っている。
ただ、ひたすら。恭弥君への『好き』の気持ちを込めて、桃の告白を演じた。
「よし、そこまで。二人とも終わりだよ。」
私はその声に、我に返り、ガバっとヘッドフォンを外す。
汗が滴るのを感じて、かるく甲で拭う。…どうしよう…やっぱりお芝居って楽しい!
「一条君!ありがとう!!一生の思い出になったよ!!」
私は、興奮して話しかける。
そこには驚いたように、固まった一条君の顔があった。
「お前…天才かよ…。」
「え?なんか言った?」
「いや、とりあえず、出よう。」私は彼の後について、ブースを出る。
「おい。」
「ひいいいぃい!」
そこには仁王立ちで待ち構える泉先輩がいた。
「すすすすすみません!!!」なんか条件反射で謝ってしまう私。
だったけど、顔を上げてみると見たことのないくらい満面の笑みを浮かべる泉先輩。
「お前、すげぇいいわ。俺の目指す理想のヒロインそのものだったぜ、新作のイメージも湧いてきた。忘れねえうちにプロット仕上げたいから、後のことはお前らに任せた。」
泉先輩はぐしゃっと私の頭をなでると、あっという間に出て行ってしまった。
「桃…俺が桃を…傷つけたのか…」
あまりの存在感に思わず隣を見る。そこにいたのは、もう一条君ではなく「恭弥」だった。
画面が変わり桃の映像になる。
「待って!恭弥君!!」正しい呼吸で正しい発声を。基本に忠実に。心を込めて、丁寧に…
「桃…?」
「ハァハァ…恭弥君……ハァ…私…まだ…恭弥君に伝えてないことが…あるの…」
私は、ひたすら画面を見つめながら声を吹き込む。このシーンは何度もマンガで読んでる。セリフなんてぜんぶ入っている。
ただ、ひたすら。恭弥君への『好き』の気持ちを込めて、桃の告白を演じた。
「よし、そこまで。二人とも終わりだよ。」
私はその声に、我に返り、ガバっとヘッドフォンを外す。
汗が滴るのを感じて、かるく甲で拭う。…どうしよう…やっぱりお芝居って楽しい!
「一条君!ありがとう!!一生の思い出になったよ!!」
私は、興奮して話しかける。
そこには驚いたように、固まった一条君の顔があった。
「お前…天才かよ…。」
「え?なんか言った?」
「いや、とりあえず、出よう。」私は彼の後について、ブースを出る。
「おい。」
「ひいいいぃい!」
そこには仁王立ちで待ち構える泉先輩がいた。
「すすすすすみません!!!」なんか条件反射で謝ってしまう私。
だったけど、顔を上げてみると見たことのないくらい満面の笑みを浮かべる泉先輩。
「お前、すげぇいいわ。俺の目指す理想のヒロインそのものだったぜ、新作のイメージも湧いてきた。忘れねえうちにプロット仕上げたいから、後のことはお前らに任せた。」
泉先輩はぐしゃっと私の頭をなでると、あっという間に出て行ってしまった。

