校門を出ると、黒塗りのリムジンが止まっている。
私はぽいっとその中に投げ込まれる。



他の4人も乗り込むと、その車は静かに滑り出した。




…これって拉致だよね?どうしよう…、さすがにおじい様に連絡しないと…
私は一人であたふたする。





その時困ったように相良君が訊ねてきた。
「ねぇ、今君の御実家に連絡してるんだけど、つながらないんだ…。えっと…」





「あ、そうですよね、私一人暮らししてるので。」「え?」
4人の視線が一斉にこちらを向くのを感じた。





「私、母は幼いころに他界し、父も昨年飛行機事故に巻き込まれてなくなりました。それからは、屋敷に一人で。」





「すまない…、僕は…知らなくて…」
「いえ、構いません。もう心の整理はついているので大丈夫ですよ!」

すっかりびっくりしてしまっている相良くん、私は慌てて取り繕う。
いきなりヘビーだったかな…。




「えっと…その…使用人は?それに、ご実家の坂上の方は何も…」

「本家のおじい様からは、戻るように言われましたが断りました。いくつかの条件は付けられましたが…。例えば家のセキュリティレベルの引き上げとか…」





「一応僕たちが君を預かっていることを、家の方にも伝えておきたいんだけど。」

「分かりました。私が直接おじいさまに連絡しますね。」