編入してきてから初めての授業。
たくさんの教材をもらっただけあって、異常なスピードで授業が進んでいく。




もともと前の学校も進学校だったし、私自身学力には自信がある方で、特に問題はなかった。…のだけれど





「…あれ、ないな…?」
先生から指定されたテキストがどこを探しても見つからない。一応黒板に問題が書いてあるから困りはしないけど…

「あっ!」思い出した…。




「…どうかしましたか?坂上さん。」
私の後ろに座る相良君がこっそり声をかけてくれる。彼とは出席番号が前後だったのだ。


「ううん!大丈夫ごめんね!」





しまった。昨日の茶髪のお兄さんに持たせたままだ私…
昼休みに探しにいってみよう…





チャイムが鳴り4限目の授業が終わる。
「よし、昼休みいっぱいかければ見つかるよね!」
その時、ふいに廊下が騒がしいことに気が付いた。





「きゃーーー!!!ユキ先輩よ!!!!」

「なんてお美しいのかしら、あの可愛らしいえくぼがたまらない…」

「どうして二年生のフロアにいらっしゃるのかしら!?」

「隣の方は滉佑様よ!!!」

「珍しい、今日は登校されてるのね!?」

「なんてワイルドなんでしょう…泉家の御子息は本当に皆様容姿端麗よね…」







ざわざわとした女子のささやきが少しずつ近づいてくる。…何事ですか?