「…陛下。この度の件に関しましては、カイ…カドゥイケル様に責任は無く、この私にのみ、厳罰をお与えください。」

口篭ったカイルの横で、背筋を伸ばしたジムが一歩前に出る。
それに一番驚いたのはカイルで、慌てて同じ様に体を乗り出す。

「ちょっと待ってください、父上!
ジムの責任ではありません!」
「いいえ!国に仕える身でありながら、王子に手を上げるなど、護衛隊失格です。ですから…」

ジムをかばいだてしようとするカイルの言葉を自分の言葉で制し、胸に手を当て、どんな罰でも受けるという意図を示して見せる。
しかし、カイルだって黙ってはいられない。

「それを言うなら、王子である私の軽はずみな発言がいけなかったのです!」

「それは!…………………そうですね。
カドゥイケル様は日頃から王家の方であるという認識を強く持って頂かないと…」

必死でお互いをかばい合っていたはずだったのに…
急に冷静になったジムの言葉にカイルは目を丸くした。

「おい、それは、お前がいつも堅すぎるから気になるだけだろ?
武術教室だって、お堅い真面目な授業ばっかりで、皆が可哀想だっつってんだ!」

売り言葉に買い言葉。
ケンカの原因が今まさに、マーリンの目の前で繰り返され様としていた。