「指輪…チャペルで指輪はめる予定だったのに…忘れてた…」



…………………………。



こ…この男は。


「有り得ねー…なんたるミス…。プロポーズに指輪を贈るの忘れるなんて…」



「あんたらしいじゃん。ていうか私の指のサイズなんて知ってるの?」



あまりのへこみ具合に吹き出してしまった。ツッチーはゴソゴソ起きてジーンズのポケットから小さな箱を取り出した。



「なおの手は何度も握っているんだからサイズくらい分かってるんだよ。」



やけに自信ありげ。
そして指輪を取り出そうとした瞬間…



「あ、ディナーの時に贈ればよかった。こんなベットの上で…俺バカだ。」



そう言って指輪をしまいこむツッチーの腕を起き上がって掴む私。



「いいよ。ここで…」



場所なんてどこでもいいんだよ。そんな飾ったことしなくても…私、幸せだから…



「じゃ。改めて…。なお…明日から一緒に住もう。結婚…しよう。」



そう言って左手薬指にはめてくれた指輪は…



一一一ピッタリ。
ミ…ミラクル…。



「…うん。嬉しい…ありがとう…」



指輪をはめられた左手をギュッと握ってまた涙が込み上げてくる私…