抱きついてくる彼女の額に優しく触れる。
「前髪伸びたね…少し切ろうか?」
「うん…」
切った髪を落とす雑誌を手に持ってもらって予備のハサミを取り出す。
前髪を左手ですくってハサミを手に持った瞬間…自然と目を閉じる彼女。
一一こんな瞬間。
思わずキスをしてしまう。
軽く触れた唇を離して何もなかったようにハサミを髪に入れる俺のことを目を丸くして見て固まっちゃうテルヨは…
「ぷ…かわいい……」
吹き出しちゃう俺とは対照的に顔を歪めちゃうテルヨ。
「わ…目に髪入ったー…痛い!痛いっ!!」
「目開けるからだよ。」
「だって瀬名さんが不意打ちでキスしてくるからっ!!」
だからって思いっきり目を開けなくてもいいのに。目に入った髪を指で取ってあげる瞬間もまたかわいいんだよね。
完全に信用しきってるからこそジッと動かないで俺に体をゆだねてくるから。



