仕事帰り。甘い香りが漂ってきて思わずケーキ屋の前で足を止める俺。



「あ、ケーキでも買って帰ろうかな?」



最近の姫は赤ちゃんにかなり敏感。俺が欲しいなんて言ってしまったから少し反省。



まさかなおが自分が服用している薬のことで赤ちゃんを諦めていたなんて知らなかったし。



だけど可能性はあるんだ。名前も俺につけていいって言ってくれたし♪



俺は全然あせってなかった。自然にできるものだと信じていたから。



ケーキ屋に入ってワンホールのケーキにするかカットされた小さなケーキを複数買うか迷う俺。



うーん……



「このイチゴのケーキ下さい」



迷った挙げ句、ワンホールのイチゴの生クリームのケーキを買った。



別に誕生日でも記念日でもないんだよ。



ただ結婚式のときのウェディングケーキのようになおと二人で贅沢にフォークで食べたいなーなんて思って買ったお土産のケーキ。