嘘でも良い








☆☆☆






「あら夏月。
今日は起きてくるの、遅いのね」

「今日は、お姉ちゃんと一緒に行こうと思って」

「あらそう。
それが良いわね、これからもそうしなさい。
夏美も一緒に行きたいって嘆いていたからね」




嘘。

お姉ちゃんと行くと荷物持ちだもん。

まぁ、しもべだからしょうがないんだけどさー。

今日は、一緒に行くの。





月の封筒の中身を知るのが、怖くって。

来ているのかさえも、不安で。

…ムーンくんは知っているのかな?

お姉ちゃんに、彼氏が出来たこと。




「おはよう夏月、遅いのね今日は」

「夏美と一緒に行きたいみたいよ」

「そうなんだぁ!」




お母さんとお姉ちゃんは、勝手に勘違い。

まぁ、本当の理由は言わないけどさ。




「お母さん。
今日もしかしたら遅くなるわ。
昨日話した皇紀と、デートするかもしれないから」

「わかったわ。
遅くならないように気を付けるのよ。
夏美はやっぱり彼氏出来るの早いわね。
夏月も早く作らないのかしら?」

「夏月は私と違って、男と仲良くないからね。
彼氏作るの、難しいんじゃないかしら?」




…もう良い。

好き勝手言っていなさい。

あたしは思い切り、2枚目の食パンにかじりついた。