嘘でも良い








「そういえば、夏月はどうなったのよ」

「え?」

「夏月が私の代わりに代筆してくれている、あの月の封筒の持ち主よ」




あ、ムーンくん。

あの子、どうするんだろう?

明日、手紙来るのかな?




「もう断って良いわよ」

「え?」

「もう私には彼氏が出来たから、付き合うこと何て出来ないわ。
夏月、今まで代筆ありがとう」

「…ちょっ、お姉ちゃん?」

「そうだわ夏月。
彼氏の写真、見せてあげるわね」




あたしの話を無視して、お姉ちゃんはスマホをいじる。

どうやら彼氏の証として、付き合って早々写真を撮ったらしい。




「彼よ」

「…へぇ」




明るい茶髪にピアス、という今時の男子だった。

チャラいから、少なくともあたしの好みじゃない。

プリクラなどに慣れているのか、カメラを前にして完璧な笑顔を見せていた。




「月平皇紀(つきひら・こうき)くんよ」




それからお母さんに夕ご飯を知らされるまで、あたしはお姉ちゃんからその彼氏について延々と語られたのでした。

…正直言って、惚気だよね、これ。

愚痴の次は、惚気ですかーい。