嘘でも良い








あたしは再び書き始める。

いつもボールペンで代筆しているから、今度もまたボールペンだ。





「てか、お姉ちゃんよくオッケーしたねその人に」

「最初は断ったのよ。
でも何度も何度も来ていたから、その粘り強さに…ね」

「粘り強い男子が好きなら、ラブレターをくれる男子でも良いじゃない。
何度も送ってくれる男子、いるわよ?」

「ラブレターだけじゃ駄目よ。
本気で好きだって言ってくれる奴じゃないと」




なるほど。

どんなにイケメンでもお姉ちゃんがオッケーしなかったのは、ラブレターをくれるからだったんだ。

つまりラブレターなしで何度も告白してくれる粘り強い男子が、お姉ちゃんの理想だったわけね。

…こんな理想の低い姉に彼氏がいなかっただなんて、奇跡に近いわね。




「朝軍隊みたいに挨拶している男子は?」

「あれは駄目よ。
美しいとか可愛いとか、同じことばかり言うもの。
しかも全部本当のことだから、嬉しくないわ」




…ナルシストっぷりには、本当呆れるわ。





「お姉ちゃんに彼氏が出来たこと知っているのは、あたしと誰がいるの?」

「莉々子よ。
きっと、色んな人に回っているでしょうね。
莉々子は学校裏サイトのIDも持っているから」



学校裏サイト…。

何だか物騒なモノあるじゃないの。

まぁ、覗く気ないけどねー。